仏教史

仏典の漢訳―新訳時代

新訳は玄奘以後の訳を指す。玄奘は『西遊記』の三蔵法師のモデルとしてあまりに有名であるが、629年に長安を発ち、さまざまな困難に打ち勝ってインドに学び、多くの経論を持って645年に長安に戻った。その後、もっぱら自らのもたらした経論の翻訳に従事した…

仏典の漢訳―旧訳時代

第二の時期を旧訳(くやく)とよぶ。これは鳩摩羅什(くまらじゅう)の時代から玄奘(げんじょう)[602-664]より前の訳を指す。この時代には、古訳時代の試行錯誤を経ておおよその訳経の方針が定まり、すぐれた翻訳が続々となされた。この時代に翻訳された経…

仏典の漢訳―古訳時代

通常、漢訳仏典はその訳出年代によって三つの時期に分ける。 まず、最も古い時代の訳を古訳とよぶ。大体、鳩摩羅什(くまらじゅう)[350-409頃]より前の訳を指す。主要な翻訳者としては、安世高(あんせいこう)・支婁迦讖(しるかせん)のほかに、支謙(し…

大乗経典の成立過程

初期大乗仏典―紀元2世紀ごろまで、すなわち龍樹[150-250頃]以前の成立と考えられるもの。般若経典・浄土経典や『法華経』『華厳経』など、大乗仏教の骨格をなす経典はこの頃の成立と考えられる。 中期大乗仏典―4、5世紀の成立。唯識説を大成した無著(む…